デザイナーに人権はない
デザイナーに人権はない。
はじめに
ちょっと過激なタイトルですが、これは煽りでも自虐でもありません。
デザイナーという仕事を長くやってきて、そして今は「発注する側」にも立つようになって、僕は本気でそう思っています。
なぜ、デザイナーに人権はないのか
ここで言うデザインは、UIやUX全般ではなく、ビジュアルデザインの話です。
ロゴ、資料、キービジュアル。
それらは必ず「納期」と「予算」に縛られます。
でも、そもそもデザインという行為は
- どれくらい時間がかかるか分からない
- どこで“降ってくる”か分からない
- 寝かせた方が良くなることもあれば、5分で出ることもある
つまり予測不能です。
この“予測不能な営み”を、
時間とお金で管理する資本主義の上に無理やり載せている。
ここに、すべての歪みがあります。
訂正回数・納期・価格という矛盾
修正回数、ラフの数、締切。
それらは「管理」するためには必要ですが、
いいものを作るために最適とは限らない。
それでもビジネスは待ってくれません。
だから結果として起きるのは、
- 修正が無限に増える
- 単価は低い
- 評価はされない
- 最後は「もっといけるでしょ?」と言われる
……正直、かなりしんどい構造です。
発注する側になって分かったこと
僕は今、デザインを業務委託する立場にもいます。
だからこそ分かります。
デザイナーに人権がない構造を理解した上で、
それでも仕事を依頼しなければいけない苦しさ。
こんなに頑張っているのに、
採用されない、弾かれる、評価されない。
それを本当に理解できるのは、
「実際にやってきた人」だけです。
デザインは、もともと資本主義向きじゃない
デザインのルーツはアートです。
本来、時間もお金も二の次でした。
「いいものを作る」
それだけが価値だった。
でも今は、
デザインがビジネスの一部になり、
資本主義の論理に完全に組み込まれています。
この時点で、
どこかに無理が出るのは当然です。
そして、AIが登場した
ここでようやく朗報があります。
AIです。
AIは時間を超越できます。
人間が一生かかってもできない思考量を、数分で回せる。
もしこれがクリエイティブ領域に本格実装されたら、
- 何万通りのラフ
- 無限の試行錯誤
- 修正という概念の消失
が起こります。
デザイナーの終焉であり、始まり
ただし、これは全員が救われる話ではありません。
ビジュアルだけを作るデザイナーは、
確実にAIに置き換わっていきます。
生き残るのは、
- 思想を設計できる人
- なぜそれが必要か説明できる人
- ビジネスと人間を理解している人
- 責任を取れる人
つまり
「何が重要で、何が重要じゃないか」を決められる人です。
人間にしか残らない価値
人間の価値は、
- 感情
- 文脈
- 責任
- 心の揺れ
こういった、数値化できないものに乗っていく。
作業量や処理能力はAIへ。
判断と覚悟は人間へ。
結論
だから僕はこう思っています。
デザイナーに人権は、これからも多分ない。
でも、
その「人権がない部分」をAIが引き受けてくれる時代が来る。
そしてその先で、
本当にデザインをしている人間だけが、
ようやく報われる世界が始まる。
終わり。